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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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ダイエーとその戦略



大手商社の丸紅が、保有するダイエー株式の10-15%を売却する方針を決めた
ことが30日、分かった。大手スーパー、ダイエーの再建で、筆頭株主の丸紅が
保有するダイエー株の一部売却を検討、イオンや米ウォルマート・ストアーズなど
との交渉が本格化する。人口減少で市場拡大が見込めない中、流通各社は業績を
確保するため他社との提携や合併による競争力強化を急いでおり、コンビニなども
巻き込んで流通業界再編が新たな局面を迎えようとしている。30日付の毎日
新聞によると、イオンが同株を取得する方向で調整しているという。実現すれば
売上高が合計で6兆円を超す国内最大の流通グループが誕生する。


丸紅は今月4日付で産業再生機構からダイエー株33・6%を約698億円で買収
して44・6%を保有する筆頭株主になった。それに先立つ7月28日、丸紅の
勝俣社長は記者会見で「ダイエーの企業価値の向上につながるなら他の小売り
企業との提携も検討する」と述べて、丸紅にはない小売りのノウハウを持つ企業と
協力体制を築くことで、ダイエー再建を軌道に乗せる提携先を選定する意向を
明らかにしていた。丸紅首脳は30日までに、この提携に関心を示す企業は
いくつか出ていることを明らかにしたうえで、新体制が発足する10月をめどに
決定するとの見通しを示した。丸紅から派遣する西見徹常務執行役員は、10月
上旬の臨時株主総会で社長に就任する予定。

同首脳によると、提携先とは、丸紅が保有するダイエー株の一部を譲渡する形で
協力していく方針。また、別の丸紅関係者によると、提携先の候補は、イオンのほか、
ウォルマート、セブン&アイHDを含む複数の企業としている。 もともと産業再生
機構によるダイエーの支援企業の選定には、丸紅とアドバンテッジパートナーズの
ほか、イオンとウォルマートが名乗りを上げていた。再建スピードを加速させる
ためには事業パートナーが不可欠として、同社は「一定規模のある小売業」との
交渉を進める方針を明らかにしていた。イオン、ウォルマートは、産業再生機構が
実施した支援企業選定の入札に応じるなど、丸紅とスポンサーの座を競った
経緯がある。30日付の毎日新聞はイオンが約10%の株を取得する方針と伝えて
いる。

イオンはメーンバンクが丸紅と同じみずほフィナンシャルグループで、平成9年に
破綻した旧ヤオハン、13年のマイカルなど、大手スーパーの再生を果たした
実績もある。さらに「丸紅は、イオンが商品開発力で優れており、仕入れでも強力な
交渉力を発揮できるとみている」(流通関係者)。

産業再生機構によるスポンサー探しの際には、イオンがダイエーの大株主になると、
イオン、ダイエー、ヨーカ堂の3極のバランスが崩れると懸念する声が経済産業省に
あったが、「ダイエーが産業再生機構の手を離れたことで丸紅はフリーハンドに
なったことも提携を後押ししている」(大手スーパー関係者)という。イオンから見れば、
少子高齢化で長期的には小売業の市場は縮小傾向にあるなかで、ウォルマートの
日本進出やセブン&アイがコンビニ、スーパー、百貨店を網羅する業態になった
ことで危機感は強く、一気に規模を拡大するためにはダイエーは不可欠。まちづくり
3法の改正で、大規模小売店舗の新規出店が難しくなっているなか、ダイエーはなお、
主要都市のいい立地条件の店舗を多数抱えている。ダイエーグループの食品
スーパー大手、マルエツも魅力的だ。スーパーをはじめ流通業界は、既存店売高が
前年を下回るなど厳しい状況が目立ち「人口減の流れが変わらず消費が伸び悩んで
いるため、競争相手をのみ込んでいくしかない」(大手流通関係者)との声が聞かれる。
コンビニ大手のローソンの新浪剛史社長は同日の記者会見で、ダイエーと流通大手の
提携について聞かれ「店舗の過剰状態が解決に向けて動き始めた」と述べ、店舗の
リストラ、経営効率化への期待感を示した。ただ、デメリットもある。再生機構の下で
不採算店を閉鎖して210店にまで絞り込んだが、「店舗に対する投資が長期間滞って
おり、魅力的な店舗作りができていない」(流通関係者)など3分の2は問題があると
いわれている。また、突然、ダイエーの樋口泰行社長が退任することになったのは、
丸紅との再建の将来像にずれが生じてきたことが一因との指摘もある。そのため
イオンと丸紅との間で再建手法をめぐって摩擦が生じる危険性も指摘されている。
今後はダイエーの第2位株主、投資ファンド、アドバンテッジ・パートナーズの
動向や、ダイエー再建の切り札の一つとされてきたユニクロを展開するファースト
リテイリングとの関係なども焦点となってくるとみられる。




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